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健康コラム

内科からの紙風船(50)ナルコレプシーの原因

TEXT:津軽保健生活協同組合 理事長 安田 肇


photo 「眠られない」のも大変なことですが、起きていなければならない時に自分の意志とは関係なく「寝てしまう」のも困ったことです。睡眠時無呼吸症候群によって、睡眠中に呼吸が止まってしまい熟睡できないことが原因のことが最も多く、健生クリニック飯田寿徳所長外来で多くの患者さんが治療を受けています。

 もう一つの原因に、ナルコレプシーというやや特殊な病気があります。典型的な患者さんは一人しか診察したことがありませんが、大変印象深いものでした。会議中など、重要な時に突然寝込んでしまう、子供さんと楽しく遊んでいるときに突然体の力が抜けて倒れそうになるという症状がありました。ナルコレプシーの歴史は古く、1880年に、フランス人医師ジュリノーが初めて報告しました。その患者さんも、日中であるにもかかわらず耐え難い睡魔に襲われる、大笑いをしたり、喜んだりすると下肢の力が抜けて崩れ落ちてしまうという症状がありました。

 初めての報告以後、長い間、ナルコレプシーの原因は不明でした。1996年、当時テキサス大学にいた柳沢正史、櫻井武の二人の日本人研究者がオレキシンという物質を発見したことから研究が急速に進みました。オレキシンは覚醒(目を覚ましておくこと)を維持するのに重要な物質で、ナルコレプシーでは脳内のオレキシンを産生する神経細胞が減少していることが明らかになったのです。元々、オレキシンは食欲に関係する物質として発見され、ギリシャ語の食欲を意味するオレキシスにちなんで命名されました。ナルコレプシーの研究を通じて、オレキシンという物質が食欲だけでなくて、覚醒を維持するために重要な役割を果たしていることが分かりました。

 考えてみれば、食欲と覚醒が関係あるのは当然です。動物は、空腹になると餌を探さなければなりませんから、オレキシンが増えて活動的になります。一方、満腹になると餌を探す必要はありませんからオレキシンが低下して休憩をとります。昼食後、お腹が一杯になると眠くなるのは一つにはオレキシンが低下するためと考えられています。一方、夜、お腹がすいていればオレキシンが上昇しますから、なかなか寝つけないことになります。

 最近、オレキシンの作用を抑えることによって眠気を誘うタイプの睡眠薬が開発されました。睡眠薬の分野も研究が進んでいて、なるべく睡眠に関わる部分にピンポイントに働いて、副作用が出ないようにする研究が進められています。


2017年8月1日発行 機関誌「健康」第662号より


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