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健康コラム

内科からの紙風船(49)「寝られない」「眠れない」

TEXT:津軽保健生活協同組合 副理事長 安田 肇


photo 内科外来で診察している患者さんは、主病に関わるもの以外に多くの訴えをされます。そうした訴えの中で、最も頻度が高いものの一つに「眠られない」があります。

 睡眠のメカニズムについては、現在でもまだ解明されていない部分が多いのですが、二つの視点から不眠を訴える患者さんの話を聞くようにしています。

 一つは、生体の日内リズムで、人間の脳内には光りを感知し睡眠をコントロールするシステムがあります。光りと関連して睡眠をコントロールしている物質にメラトニンがあります。明るいうちはなかなか寝られませんし、朝起きて光りを浴びると眠気がとれやすくなります。最近では、脳内のメラトニンの作用と同様の働きをする睡眠薬も登場しました。

 もう一つは、長く起きていると脳内に睡眠物質であるアデノシンがたまって眠気が生じます。アデノシンの働きを一時的に抑えるのがカフェインで、夜にお茶やコーヒーを飲み過ぎると寝られなくなります。

 夜勤明けで日中に寝ようと思っても明るくて寝られませんし、なかなか寝つけないので、睡眠時間を少しでも確保しようとして早めに布団に入ってもアデノシンがまだたまっていませんんから寝られません。

 睡眠の効能ということでは、神経系のリフレッシュということが重要です。脳はいろいろな種類の神経から成り立っています。ノルアドレナリン、セロトニンなどのモノアミンと呼ばれる物質が関わっている神経系は心を落ち着かせる、不安を押さえることと関係しています。モノアミン系神経の作用を強める薬は、うつ病や不安障害の薬として用いられています。睡眠中に、モノアミン系神経が完全に休む時間帯があることが分かっています。これによって十分な睡眠の後には、リフレッシュした状態でモノアミン系神経が働くことができるのです。よく寝た後は、心身ともにリフレッシュされていることから実感できると思います。

 不眠症の治療として、さまざまな睡眠薬が試みられていますが、まだ完璧なものは存在しません。多くの薬は、睡眠中枢に作用して眠気を眠気を誘いますが、ピンポイントで作用するわけではなく、脳内のあちこちの領域に影響を及ぼします。体のバランスをとる中枢である小脳を抑制するために、ふらつくのは一番困った副作用です。睡眠薬を服薬した状態で夜間トイレに起きると、転んで骨折することがあります。十分な睡眠をとることの重要性を認識しつつ、まだ不十分な薬である睡眠薬を使っているのが現状です。


2017年6月1日発行 機関誌「健康」第660号より


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