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健康コラム

内科からの紙風船(48)公務執行と人種差別

TEXT:津軽保健生活協同組合 副理事長 安田 肇


photo 昨年、アメリカ大統領選挙中にトランプ氏をめぐるわいせつ会話のテープが、新聞ワシントン・ポストによって暴露されました。同紙は、過去にニクソン大統領の辞任につながったウォータゲート事件を手掛けるなど権力者の調査報道には定評があります。ポスト紙は「世界で最も権力のある地位に就こうとする候補者を調べるのは我々の責務。ジャーナリズムが市民社会と民主主義に必要と理解されることを望む」と述べています(朝日新聞2016年10月29日)。

 以前の本コラムで、アメリカ退役軍人省が、軍の中に存在するセクシャルハラスメントについて大規模な実態調査を行い、結果を論文として公表しているというお話をしましたが、こうした点は、アメリカに存在する民主主義の強さだと思います。

 一方で、アメリカが多くの問題を抱えていることも確かです。公務執行中の白人警察官による黒人殺害の映像がインターネット上に流れ、それに対して大規模な抗議運動が展開されました。黒人への人種差別という文脈で語られることが多いのですが、疑い深い私としては、十分ありえるとは思いつつも、白人と比較して、本当に警官による黒人殺害の頻度が高いのか、きちんとした調査がなされないと分からないと思っていました。

 ニューイングランド医学雑誌2016年10月20日号に、アメリカ疾病予防センターCDCから、「米国における法執行官(主として警察官のことだと思います)が加害者の殺人」という論文が掲載されました。

 公務執行中の警察官が加害者である殺人の発生は、一般市民と警察官との関係悪化を招くという点で重大な問題で、その正確な実態把握を行い、再発予防策を立案する目的で調査を開始したとのことです。警察官の公務執行中の殺人のデータベース化を行い、現在17州からの情報提供を受けて、今後、拡大予定とのことです。まだ予備的調査の段階ですが、2013年には212名の死亡が確認され、人種別では白人1とするとヒスパニック系が3倍、黒人が6倍と、残念ながら予想を裏付ける結果となってしまいました。黒人で死亡者が多いのは、警察官との間のトラブルの絶対数が多いことが原因なのか、トラブルの頻度は同じでも、人種差別的な対応から黒人で殺害される比率が高いのか、残念ながら、そこまでの考察はなされていませんでした。ただ、こうした調査が連邦機関であるCDCによって実施され、情報開示されているということは、当然なこととはいえ重要なことだと思います。


2017年5月1日発行 機関誌「健康」第659号より


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